公開情報

ビデオコンテンツ

財団事業公開情報 多文化共生の推進と日本語普及 言語の調査研究活動 異文化理解の促進

事業概要報告書

第40期事業概要報告書

自 2012年4月 1日
至 2013年3月31日

はじめに

 当公益財団は、2012年4月より、「公益財団法人」として新たなスタートを切りました。過去40年間、外務省認可の財団法人として青少年の国際交流活動を中心に事業を行ってきましたが、昨年度からさらに公益性の高い事業を推進していくという意識をもち、事業を展開しました。主たる事業内容は、(1)青少年の異文化理解と国際友好親善を通じての国際理解や友好促進、(2)言語の調査研究や講座を通じて、言語学に関心をもつ学生、研究者などの人材の育成、(3)多文化共生のための日本語教育の指導を通じての日本語の普及や地域活動などです。
 国際友好親善事業は、41回目を迎え、引率者を含め中学生・高校生の当法人会員、総勢872名をアメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド・中国・韓国の6ケ国へ派遣し、有意義なホームステイ交流を行いました。外国青少年受入れは、北米・オーストラリア・ニュージーランドの国々から136名が来日しました。短期日本語研修の受入れでは、北米・ヨーロッパ・中近東・アジアの国々から、計43名が来日し、それぞれ有意義な日本語研修を行いました。また、高校留学プログラムでは当法人会員33名に1年間のアメリカ・カナダでの留学機会を提供し、貴重な異文化体験を行い、国際的な視野を広めました。海外大学生年代を対象にしたインターンプログラムで来日したアメリカ・カナダ・オーストラリアの大学生5名が1年間日本に滞在し、日本文化や日本語を学びました。
 ラボ国際交流は、長期的かつ継続的なプログラムとして家族ぐるみで子どもの夢を育み、中学生年代の自立心や世界に通じる力を育てています。感性豊かな十代での異文化体験は、社会で求められている国際理解教育としての意味をもち、日本の青少年にとって相互理解を深め、異なるものを認め合い、自己の成長を促す絶好の機会となっています。
 言語の調査研究活動―東京言語研究所の事業は、言語学に関心をもつ学生、研究者などを対象に「理論言語学講座」、「公開講座」などを実施しています。46年目の「理論言語学講座」は、開設以来、延べ8,600名を超す履修者を送り出しました。2012年度は、同講座を中心に春期・夏期講座、集中講義、公開講座を実施しました。夏期講座では2泊3日の合宿形式で「教師のためのことばワークショップ」を開催し、言語学の知見と日常の授業実践との関係を明確にしました。昨今、さまざまな要因により、「理論言語学講座」受講者数が減少傾向にあります。しかしながら、昨年度はカリキュラム内容の充実や募集方法の改善などにより、前年度より受講者数が微増しました。
 地域の多文化共生のための日本語普及活動および支援活動―ラボ日本語教育研修所の活動は、1987年から外国青少年を対象にした日本語学習の機会を提供しましたが、本格的な日本語教育の指導を行うために、その後、外国人のための日本語教育「本科コース」を開講し、日本語普及を行ってきました。同コースの開講以来、事業は順調に運営されてきましたが、一昨年の東日本大震災や原発事故が原因で、受講者数が激減し、事業運営に大きな影響を与えました。2012年度は、予定どおりの受講者数は確保できませんでしたが、受講者数はかなり回復しました。「日本語教師養成講座」は、一昨年に引き続き、開講を中止しました。短期日本語研修プログラムは、北米青少年、ラングブリッジ青少年、中国・天津日本語学校学生が初めて来日しました。また第1回インドネシア青少年日本文化スタデイツアーで引率者を含めインドネシア高校生17名が来日し、日本語研修とスタデイツアーと共に2泊3日のホームステイを行い、有意義な体験をしました。
 外部団体への協力・支援活動―東日本大震災後、被災児童への自立支援活動として、各国の大使館の協力のもとに特定非営利活動法人「次代の創造工房」が中心となり、「Support Our Kidsプロジェクト」が立ち上げられ、自立支援事業が実施されています。当法人は、ニュージーランド大使からの依頼をうけて同事業に協力いたしました。ニュージーランド・イギリス・アメリカの国々に被災地の中学生・高校生75名を派遣する海外ホームステイプログラムにおいて、参加者の事前準備活動や参加者のオリエンテーションなどに協力・支援いたしました。
 地方自治体との関わり―中高年を対象にした市民講座である川口市主催「盛人大学」は、2012年度からあらたに「国際コース」が加わりました。当法人は、同コースの運営や講師派遣で協力と支援を行い、本年3月「盛人大学」卒業式で川口市長より同大学運営に関する協力に対して感謝状が当法人に贈られました。
 2012年度事業を支えていただいた理事・評議員の方々、および青少年国際交流関係者にあらためて感謝申し上げます。第40期事業の概要は以下のとおりです。

1.青少年の国際交流活動 〈その1〉一ケ月のホームステイ交流
(1) アメリカとの交流

 41回目のアメリカとの青少年相互交流は、2012年7月下旬より1ケ月間、引率者を含め中学生・高校生の当法人会員609名が米国30州を訪問しました。提携団体は米国4-Hクラブ・ペンシルバニア州メノナイト協会・ニューイングランドホームスクール連絡会議・テキサスグローバルエデユケーション協会・ユタ・プレミアム国際交流協会・アイオワ州グローバルフレンドシップ協会の6団体です。
 同年7月上旬、米国21州より引率者4名と米国青少年53名が来日し、全国の当法人会員宅にステイしながら各地の青少年と交流行いました。

(2) カナダとの交流

 37回目のカナダとの青少年相互交流は、2012年7月下旬より1ケ月間、引率者を含め中学生・高校生の当法人会員111名がカナダ6州を訪問しました。提携団体は日本・カナダ青少年交流委員会、コンタクト・カナダの2団体です。
 同年7月上旬、カナダ4州から引率者1名とカナダ青少年10名が来日し、全国の当法人会員宅にホームステイしながら各地の青少年と交流を行いました。

(3) オーストラリアとの交流

 30回目のオーストラリアとの青少年相互交流は、2012年7月下旬より1ケ月間、引率者を含め高校生の当法人会員23名が最大都市シドニーと、首都キャンベラをはじめ、ニューサウスウェールズ州各地を訪問し、高校生がいる家庭にホームステイしながら現地高校に3週間通学しました。提携団体はニューサウスウェールズ州日本語教師協会です。
 同年12月中旬より2013年1月上旬までの3週間、ニューサウスウェールズ州シドニーとキャンベラから引率者1名と高校生9名が来日しました。首都圏在住の当法人会員宅にホームステイしながら受入れ家庭と一緒に日本のお正月を楽しみました。

(4) ニュージーランドとの交流

 11回目のニュージーランドとの青少年交流は、2012年7月下旬より8月中旬まで4週間、引率者を含め中学生・高校生・大学生など当法人会員50名が北島タウランガ市を訪問しました。中学生年代の参加者は男女共学中学校、高校生年代はカレッジと呼ばれる男女別の高校に通学し3週間の短期留学と、雄大な自然とマオリ文化に触れる機会をもちながらホームステイを通じて有意義な交流を行いました。提携団体は交流団体レッツホームステイとタウランガ市のIntermediate School (25名), Boys College (9名), Girls College (13名) の各学校です。
 同年12月中旬より2013年1月上旬までの3週間、引率者1名とニュージーランドの高校生10名が来日しました。関西圏の当法人会員宅にホームステイしながら受入れ家庭と一緒に日本のお正月を楽しみました。

(5) 中国との交流

 27回目の中国との青少年相互交流は、2012年3月下旬の9日間、引率者を含め小学生高学年・中学生・高校生・大学生・大人の当法人会員38名が上海市と北京市を訪問しました。同プログラムは41期事業になりますが、40期の年度内に終了しましたのでここに記載します。なお、28回目の中国との青少年相互交流は、2013年3月下旬の9日間、引率者を含め小学生高学年・中学生・高校生・大学生・大人など当法人会員15名が上海市と北京市を訪問しました。提携団体は上海外国語大学付属外国語学校・北京市月壇中学です。
 同年7月下旬から8月初旬まで北京市月壇中学から10名の青少年が来日し、関西圏の当法人会員宅にホームステイして交流を行いました。例年、同年1月中旬-下旬には上海外国語学校の学生が来日していますが、今年度は、中国側の事情により来日が見送られました。

(6) 韓国との交流

 再開12回目の韓国との青少年相互交流は、2012年7月下旬から11日間、引率者を含め小学校高学年・中学生・高校生など当法人会員47名がソウル市とプサン市を訪問しました。韓国ラボ会員宅にホームステイしながら、キャンプへの参加を通じて韓国青少年と交流し、相互理解を図りました。提携団体はソウルに本部を置く「社団法人韓国ラボ」です。
 同年7月下旬から8月初旬まで、引率者3名と韓国青少年34名が来日し、西日本を中心とした当法人会員家庭にホームステイし交流を行いました。

(7) オレゴン国際キャンプ

 16回目のオレゴン国際キャンプは、2012年7月下旬から8月中旬まで3週間、引率者2名と中学生、高校生の当法人会員15名が参加しました。米国ノースウエストの大自然に囲まれたオレゴン州で同世代のアメリカ青少年との交流や多彩な野外活動を通して“自然そのものから学ぶ”ことを体験しました。キャンプ体験は自らの限界や挑戦する力を見直すよい機会となっています。提携団体はオレゴン州ポートランドに本部を置く「オレゴン科学産業博物館」(OMSI)です。

2.青少年の国際交流 〈その2〉一年間の長期交流
(1) ラボ高校留学プログラム

 24年目を迎えたラボ高校生留学プログラムは、米国国際教育派遣基準協会(CSIET)の認可基準に基づき実施され、米国国務省認定の留学機関が留学生を受入れています。

○第24期ラボ高校生留学プログラム(2011年7月〜2012年7月)
 北米(アメリカ、カナダ)留学生28名は1年間の留学生活を終え、米国留学生は2012年6月中旬に、カナダ留学生は同年7月上旬に帰国しました。

○第25期ラボ高校生留学プログラム(2012年7月〜2013年6月)
<米国> ASPECTへの留学生9名は、2012年7月下旬に出発し、サンフランシスコで1週間の到着時プログラムに参加した後、各州に移動しました。PAXへの留学生10名は、同年8月中旬出発し、ニューヨークで4日間の到着時プログラムに参加した後、各州に移動しました。米国4-Hクラブへの留学生9名は、3年ぶりに受入れが行われましたが、2012年7月下旬に出発し、ワシントン州シアトルで1週間の到着時プログラムに参加した後、各州に移動しました。現在、各州のホストファミリィ宅にステイしながら充実した留学生活を送っています。本年6月中旬、ASPECTとPAXの留学生はサンフランシスコで、米国4-Hクラブの留学生はシアトルでの2泊3日の帰国前プログラムに参加した後、帰国予定です。

<カナダ> カナダ留学生5名は、2012年8月中旬に出発し、ブリティシュコロンビア州バン クーバー島で2週間の英語研修を受けた後、各州に移動、ホームステイをしながら留学生活を送っています。本年7月上旬、2泊3日の帰国前プログラムに参加後、帰国予定です。

(2)通信教育―ブリッジ・プログラム

 高校留学希望者を対象にしたブリッジ・プログラムは、留学準備コースとして英語聴取力、文法、読解力を高めるための8ヶ月間の通信教育を実施しています。2012年度は、中学生、高校生及び青少年指導者(ラボテューター)ら計83名が受講しました。

(3)大学生年代の交流–インターンプログラム

 25年目を迎え、海外大学生年代を対象にした一年間日本に滞在するインターンプログラムは、日本人家庭でのホームステイを通じて地域の青少年活動への参加や日本文化を学びながら相互理解を促進します。同プログラムに参加した外国青年のその後の勉学や進路選択に日本での生活体験は大きなインパクトを与えています。2012年度の概要は以下のとおりです。

<北米>
・2011年9月にアメリカから2名、カナダより1名が来日、1年間のプログラムを終了して2012年8月下旬に帰国しました。

・2012年9月にアメリカから3名が来日、ホームステイを楽しみながら日本文化を学んでいます。2013年8月に帰国予定です。

<オセアニア>
・2012年2月にオーストラリアから2名が来日、1年間のプログラムを終えて2013年2月に帰国しました。

・2013年2月下旬にオーストラリアから2名が来日。現在、日本人家庭でのホームステイを楽しみながら日本文化を学んでいます。2014年2月に帰国予定です。

3.機関紙「ラボの世界」の発行

 機関紙「ラボの世界」は異文化理解の促進のために年4回発行し、会員や公共教育団体に配布しています。2012年度発行「ラボの世界」概要は、以下のとおりです。

○2012 Summer Vol. 257 2012年 6月14日発行
 10代とともに〜鳥越俊太郎氏(ニュースキャスター・コメンテーター)
 NZ大使、各交流団体コーディネーターを交えての公益財団法人移行祝賀会報告、
 中国交流報告、第1回インドネシア文化交流、日本・カナダ青少年交流委員会報告

○2012 Autumn Vol. 258 2012年 9月27日発行
 10代とともに〜外尾悦郎氏(サグラダ・ファミリア主任彫刻家)
 夏の交流速報、アジア交流受入れ報告、北米青少年日本語研修参加者体験報告、
 東京言語研究所「ことばワークショップ」リポート

○2012 Winter Vol. 259 2012年12月13日発行
 10代とともに〜谷川俊太郎氏(詩人)
 地平線白書、国際交流参加者その後の体験談、日米合同会議報告、
 川口盛人大学国際コース新設(ラボ協力)

○2013 Spring Vol. 260 2013年 3月1日発行
 10代とともに〜中垣哲也氏(オーロラメッセンジャー)
 オーストラリア、ニュージーランド青少年受入れ家庭体験記、
 ラボ日本語研修所紹介理事・評議員会報告

4.その他
(1) ラボ国際交流のつどいの開催

 2013年3月から4月にかけて、2013年度ラボ国際交流参加者を対象に「ラボ国際交流のつどい」が札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・四国・福岡の全国8ケ所で開催されました。3月17日に日比谷公会堂で開催された首都圏「ラボ国際交流のつどい」には、参加者、ご家族、ラボ関係者ら約2,000名が集い、来賓として列席したニュージーランド大使を始め、アメリカ、カナダの大使館代表、受入れ団体代表のコロラド州交流責任者、社団法人韓国ラボ事務局長から参加者への激励メッセージが伝えられました。

(2) 交流団体との合同委員会

○アメリカ4-Hクラブとの合同委員会
・2012年11月、米国カンザス州で米国4-Hとの合同交流委員会が開かれ、当法人スタッフ5名、青少年指導者(ラボテューター)1名が参加しました。青少年指導者は国際交流の意義に関するプレゼンテーション、日本文化紹介のカルチャーフェアーを行い、日本文化および相互理解の促進に努めました。

・2013年2月、米国ルイジアナ州ニューオリンズで米国4-Hとの春会議が開催されました。アメリカ事務所スタッフ1名が直接参加し、当法人スタッフ2名が東京からスカイプを通じて会議に参加しました。

○アメリカ・ニューイングランド交流責任者との合同委員会
 2012年11月、マサチューセッツ州ボストンでニューイングランド・ホームスクール担当者との合同委員会が実施され、当法人スタッフ4名が参加しました。各州交流担当者と夏の交流の成果と課題などを話し合い、2013年度交流に関する準備の確認を行いました。

○4-H代表来日
 2013年3月、米国コロラド州4-H交流責任者コートニー・ロフリン氏が首都圏での「2013年度ラボ国際交流のつどい」に参加し、4-H代表として激励メッセージを伝えました。

○他団体への支援活動
・東日本大震災の被災児童に対する自立支援事業への協力
 一昨年の東日本大震災後、被災児童の継続的な自立支援を行うために各国の大使、NPO法人「次代の創造工房」などの協力により「Support Our Kids」 実行委員会が立ち上げられました。当法人は昨年2月にニュージーランド大使から要請を受け、同事業に協力することになりました。Support Our Kids プロジェクトの企画委員として平野理事長が関わり、昨夏、ニュージーランドとイギリスへ被災地の中学生・高校生25名派遣に関して、事前研修と出発前オリエンテーションで協力しました。2013年3月には、外務省の「キズナ強化プロジェクト」と提携し、米国に被災地高校生50名が派遣されましたが、当法人は震災状況や復興に関する英語によるプレゼンテーションの準備や出発時オリエンテーションに関して支援・協力しました。

・川口市主催の市民講座―「盛人大学」への支援
 川口市主催の中高年のための市民講座「盛人大学」開講に関して、昨年度よりあらたに「国際コース」が設置され、当法人平野理事長が運営委員会メンバーに、日本語教育研修所青木スタッフが「国際コース」実行委員長として就任し、「国際コース」運営に協力・支援を行いました。当法人平野理事長・石井恵理子評議員・日本語研修所職員2名が講師として講座を担当しました。2013年3月「盛人大学」卒業式で川口市長より当法人に感謝状が贈られました。 

4.言語の調査研究活動―東京言語研究所事業
(1) 理論言語学講座

 1966年に開設された理論言語学講座は、言語学の基礎的な研究と基本的な教育を強化し、言語学に関心を持つ有能な人材を育成することを目的に実施しています。同講座は長年にわたり、日本における言語学教育において重要な役割を果たし、開設以来、延べ8,600名を超す履修者を送り出してきました。
 2012年度理論言語学講座は、5月上旬から12月上旬まで大津由紀雄先生(慶應義塾大学教授)の「生成文法」、池上嘉彦先生(東京大学名誉教授/昭和女子大学教授)の「認知言語学」等15講座が開催され、延べ169名が受講しました。

(2) 春期特別講座

 春期特別講座は、2日間で受講者に現代言語学の主要な研究領域やアプローチを紹介し、受講者を魅力ある言語学の世界へ誘うことを目的に毎年実施されています。2012年度は、4月下旬に開催され、127名が受講しました。春期特別講座の受講者数は安定的に推移しており、当研究所の活動として定着しています。

(3) 夏期特別講座

 2012年8月下旬の3日間、夏期特別講座「教師のためのことばワークショップ」を開催しました。今年度は初めて合宿という形態を取り入れました。西山佑司先生(東京言語研究所運営委員長)を中心に大津由紀雄先生、杉岡洋子先生が講義にワークショップを織り交ぜた形で進行し、参加者同士の交流も活発に行いました。田尻悟郎先生(関西大学教授)の特別講演も行われました。本講座には30 名が参加しました。

(4) 公開講座/特別講座

 公開講座は言語学研究の裾野を拡げることを主な目的として実施していますが、本年は3講座を開催し、119名が受講しました。

  • 第1回公開講座(2012年6月)小泉英明先生(日立製作所役員待遇フェロー)による「各種の脳機能イメージ法による言語機能の解析」
  • 第2回公開講座(2012年10月)広瀬友紀先生(東京大学総合文化研究科准教授)による「文理解の心理言語学」
  • 第3回公開講座(2013年2月)井上史雄先生(明海大学応用言語学研究科教授)の「社会言語学と法則性」
(5)集中講義

 集中講義は、一つの分野を2日間かけて集中的に学ぶことができます。65名が受講しました。

  • 第1回集中講義(2012年9月)遊佐典昭先生(宮城学院女子大学教授)による「生成文法からみた第二言語獲得研究」
  • 第2回集中講義(2013年3月)堀江薫先生(名古屋大学大学院教授)による「言語類型論の最新展開」
(6) その他

 埼玉県立総合教育センター公開行事に東京言語研究所として出展しました。子ども向けにことばの不思議や面白さを紹介するブースを設けました。100名を超える子どもが来場しました。

5.多文化共生の推進と日本語普及―ラボ日本語教育研修所の活動
(1) 日本語教師養成講座

 ラボ日本語教師養成講座は、文化庁の「日本語教員養成において必要とされる教育内容」に基づき、著名な教授による講座編成は定評があります。しかしながら、2011年度から受講者確保が困難なために開講を延期し、2012年度も社会状況が好転していないために、休講しました。

(2) ボランティアのための日本語の教え方講座

 川口市より委嘱をうけ、日本語ボランティアとして地域貢献を目指す人たちを対象に当研修所の日本語講師を派遣し、4回連続の講座を開講しました。2012年 4月17日〜 5月8日まで全4回で行われ、参加者は18名でした。

(3) 在日外国人年少者のための日本語教育の試み

 2008年に、公立小中学校に在籍する外国人子弟を対象にした日本語教育の教材およびカリキュラム開発のための研究会―JSL年少者日本語教育研究会-を発足しました。2012年度は、研究会の成果を踏まえて、川口市「かわぐち子どものための日本語教室」において教育実践を行い、さまざまなことを学びました。外国人子弟のための自立学習支援に必要な教材、カリキュラム、指導法等、さらなる研究開発を進めるために教育実践の場で経験を積むことが必要となっています。

(4) 外国人のための日本語教育

○長期コース
 2012年度の外国人のための日本語教育「本科コース」(毎日4時限、週20時限)は、春学期(2011年4月上旬〜6月下旬)夏学期(6月下旬〜10月上旬)秋学期(10月中旬〜12月下旬)冬学期(2012年1月上旬〜3月下旬)を開講しました。受講した留学生は、韓国・中国・台湾・ベトナム・ミャンマー・フィリピン・チベット・タイ・イギリスの9つの国と地域から来日し、学期ごとに約50〜70名が受講しました。2013年3月に「本科コース」を修了した留学生12名中10名が日本の大学・専門学校に進学しました。
 東日本大震災の発生と原発事故の影響により、本年度も来日を見合わせる学生がいました。また、2012年9月の尖閣諸島国有化に端を発する日中関係の悪化により、中国からの留学生が減少しました。中国、韓国からの留学生数の回復にはもう少し時間がかかるものと思われます。2012年度の特徴はベトナムからの留学生が増加したことです。2011年度はわずか1名でしたが、2013年1月には16名に増加し、その後も在籍数が伸びています。

○短期コース
・北米青少年日本語研修プログラム
 2012年6月中旬より7月上旬までの3週間、アメリカ・カナダから12から18歳の青少年26名と引率者2名が参加しました。短期日本語研修は日本語学習とホームステイが直結したカリキュラム構成になっており、宿題等を通して受入れ家庭とコミュニケーションを取りながら予習や復習ができるのが特徴です。          

・ラングブリッジ青少年日本語研修プログラム
 2012年7月初旬から下旬までの3週間、カナダ・ラングブリッジ教育センターとの提携で、米国・カナダ・フランス・ノルウエー・イスラエル・トルコ・トリニダード・トバゴから受講生14名と引率者1名が参加しました。受講者はインターネットを通じてプログラム概要を知り、日本語や日本文化に興味をもつ学生が応募しています。ヨーロッパや中東からも来日し、当法人会員宅にホームステイをしながら通学します。
 上記の短期の日本語研修では、課外授業として茶道・書道など、伝統的な日本文化に 触れる機会を設けていますが、近年、日本の漫画、アニメーションやファッションを学習動機とする受講者の増加を受けて、日本のサブカルチャーに触れながらの教室外日本語学習活動や、「三鷹の森ジブリ美術館」見学などのプログラムも取り入れています。

・インドネシア青少年交流
 2012年3月下旬から2012年4月2日まで日本語学習と日本文化スタデイツアーでインドネシアの高校生17名が来日しました。日本語研修、スタデイツアー、2泊3日の日本人家庭でのホームステイなど有意義な体験をしました。

以上